中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【5】 『アル=マムラカ・アル=アラビーヤ・アッ=スウーディーヤ』
    2005.6.25

 万博に行きました。人気の企業館、マンモス館はいつも数時間待ちらしいですね? 待つのにひたすら忍耐、という所はさっさと素通りし、空いている外国館をまわりました。サウジアラビアもその一つですが、なかなか面白かったです。

 サウ ジアラビア館に入った瞬間、ふと、ある事を思い出しました。そういえば、小学生の頃から不思議に思っていた事が1つあったのです。アテンダントの方に質問してみました。
「サウジアラビアの国旗には、緑の地に、白い剣が描いてあって、その上にアラビア文字で長い文が書いてありますが、あれはどんな意味なんでしょうか?」 
すると、
「あれは、宗教的な意味の文なんです。少し難しいんですけれど……、アッラーの他に神はなし。ムハンマドはアッラーの使徒である、と書いてあるんです。」
 立て板に水を流すように、スラスラ!っと答えて下さいました。まるで、“耳で聞く百科事典”のようでした。

☆帰宅して調べてみました。国の名前と国旗を紹介します。
サウジアラビア王国: アラビア語で の正式名称は、アル=マムラカ・アル=アラビーヤ・アッ=スウーディーヤ、と呪文のような長い名前です。
 その意味は、“サウード家によるアラビアの王国” すなわち、サウーディアラビア→サウジアラビア となる訳です。 アラブの産油国を牛耳るサウード家=大大富豪ですよね?

 実は、この不思議な国旗に惹かれるのは、子供の頃の懐かしい記憶とつながっているからです。
 たしか10歳くらいだったでしょうか。夏休みの宿題の自由研究で何をしてもいいと言われ、“世界の国旗を調べる”というのをやった記憶があります。色々な国の国旗を調べて、画用紙に各国の国旗を書いて、切り抜いて分類して模造紙(愛知県の方言ではビー紙と呼んでいました)に貼る、という事を思いつきました。その中でも、サウジアラビアの国旗は、書くのが世界中で一番難しかったのです。

 水彩絵の具でまず一面に緑に塗って、その上に白の絵の具で細かいニョロニョロを書こうとして、何回描いても滲んで失敗。でも、最後にいいアイディアを思いつきました。白のニョロニョロを先にクレパスで書いて、その上から緑の絵の具でダイナミックに塗る、という手段です。油が水をはじくので滲まないし、これはとっても上手くいきました。
 その頃は勿論アラビア文字とも知らず、良くわからない模様をクニャクニャっと適当にごまかして描いて出しました……。それでも先生には、“良くこんなにたくさんの旗、描いたね!”と、褒めてもらったので、今でもいい思い出になっています。

 幼い日に苦労して描いたあの国旗、万博のサウジアラビア館で、小さな謎が解けました。

(Y. N.)

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