Concert Review

2007年 8月 9日 リスト音楽院フェスティバル
 於:電気文化会館ザ・コンサートホール


  【中部経済界 2007年10月号所載】
 このところ若い世代の、それも当地ゆかりのメンバーを含むグループによる室内楽を聴く機会に恵まれている。嬉しいことだ。残念ながら日本にはまだ、室内楽のみを専業に活動する環境が育っていないが、聴衆は勿論演奏家にとっても大変魅力溢れる分野であるだけに、今後に期待するところ大である。
「リスト音楽院フェスティヴァル2007」
 愛知県立芸術大学に学んだ後、ハンガリーのリスト音楽院で研鑽を積んだ二人、チェロの新井康之とピアノの原田綾子を軸にしたコンサートで、前半はデュオと原田のソロ、後半は中部フィルハーモニーのコンサートマスター古井麻美子が加わってのトリオだった。
 原田のリスト「愛の夢第三番」「ハンガリー狂詩曲第十二番」は手慣れた演奏。デュオのバルトーク「 狂詩曲第一番」、ポッパー「ハンガリー狂詩曲」では新井がテクニックの冴えを見せていた。アレンスキーの「ピアノ三重奏曲第一番」は叙情性に富んだ佳作でもっと頻繁に演奏されてもいい曲。三者三様の感性が充分発揮されたなかなか聴き応えのある演奏であった。
solo
duo
trio

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