ルンデの会例会

中村 攝 セザール・キュイ 名作展

Nakamura Osamu(piano)
◎1999年12月に始まるセザール・キュイの代表作を弾くコンサート・シリーズ

攝

 Cesar Cui (1835−1918)

1: 1999年12月3日(金)
四つの小品 作品22 (1883)
  ポロネーズ、イタリア風バガテル、ノクターン、スケルツォのように
二つの小品 作品29 (1886)  ワルツの小品、陽気なスケルツォ
三つのワルツ (1836)  イ長調、ホ短調、ニ長調
アルジャントーにて 作品40 ― 九つの性格的小品 (1887)
  1. 西洋より、2. 閑暇、3. 気まぐれに、4. 小さな戦争、
  5. セレナーデ、6. 談話、7. マズルカ、8. 礼拝堂にて、9. バラード


2: 2001年2月7日(水)
ヴァルス・カプリス Op.26
二つのポロネーズ Op.30
三つの即興曲 Op.35
五つの作品 Op.52
  1. プレリュード、2. 小さなカプリス、3. インテルメッツォ、
  4. エチュード・ファンタジー、5. マーチ・ユーモレスク

四つの作品 Op.60
  1. ポルカ、2. ノヴェレッテ、3. マズルカ、4. ポロネーズ
主題と変奏 Op.61


3: 2001年8月22日(水)19時開演
三つのワルツ・ムーヴメント Op.41
二つの小前奏曲 (1889)
アンプロンプチュ・カプリス (1896)
五つの作品 Op.52
25の前奏曲 Op.64

プログラムノート

4: 2001年11月14日(水)19時開演
二つのマズルカ Op.70
三つのマズルカ Op.79
五つの作品 Op.81
  1. エスキース、2. ワルツ、3. ノットゥルノ、
  4. ポロネーズ、5. 新聞を読む牧神の午後

三つのメロディックなエスキース Op.92
三つのダンス・ムーヴメント Op.94
五つの作品 Op.95
  1. ワルツ、2. マズルカ、3. ノクターン、
  4. ユモレスク、5. ポロネーズ

三つの作品 (遺作)

プログラムノート
スタジオ・ルンデ(名古屋市中区丸の内 2-16.-7)
【参加会費】一般 \4,200、ペア \7,350、学生 \2,100 一部座席予約可(160席中約50席)
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ  TEL:052−203−4188
攝
◎ルンデの会例会で世に知られざる名曲を取りあげて、もう19年! CD制作でも着々と実績を積み重ねている鬼才中村攝。『音のカタログ』シリーズの一環として、ロシア5人組の中でも異色のセザール・キュイの代表作を弾く一連のコンサートです。

『「ロシア五人組」の最後の生き残り、セザール・キュイはこのグループ中最多量の作品を残したが、その価値は殆ど認められることなく今日に至っている。
 彼は「ロシアらしさ」を強調する五人組陣営の過激なスポークスマンとして知られたが、キュイ自身はフランスとリタアニアの混血で、ロシアの血統を持たない矛盾を抱えていた。
 彼はロシアで築城学の権威として知られた軍人で、その作品もどこか城壁を思わせるような重厚な構造美を持っている。それはたのメンバーの如き華々しさはないが、非常に高貴な品性と控え目な優美さをも特徴としている。   中村攝 』

※第3回へのプログラム・ノート
『今回の演奏は、これまでとは相当に違った印象を受けられるのではないかと思う。長年の間、どうしても分からなかった、演奏についての多くの疑問や謎が、このところ霧が晴れるように明らかになってきた感がある。演奏のあり方、その意味、方法、目的、動機など、ここでは述べ切れないが、これも「時節」なのであろう。
 音楽の持つ力の一つは、聴く人の魂をどこか別の世界に連れてゆくことにある。それがどこであるかが問題なのだが。
 今回はキュイの最大傑作「25の前奏曲」と、それに至る4編の小品(集)をステップとしたプログラムを組んだ。そこにはショパンと共通する風土性を持ちながら、ショパンにはない“城壁のような”構造性を持ったキュイの資質が表われている。言い方を換えれば、ピアニスト=コンポーサーが絶対に酢掛けない技法と内容が提示されている。作曲から丁度百年、この名作の真価を問うには、何と時間のかかることか。  2001 .8.18 中村 攝 拝』

※第4回へのプログラム・ノート 【晩年のキュイ】
『1910年、バラキレフの死をもって、キュイは「五人組」の最後の生き残りとなる(キュイ75歳)。当時のロシアではスクリャービンが「プロメテウス」を、ストラヴィンスキーが「ペトルーシュカ」を書いていた頃にあたる。こうした時期に「五つの小品」「三つの小品」というようなタイトルでマズルカやポロネーズを書いたところで、前時代の遺物としか目されなかったことは当然であろう。
 しかし、この「時代遅れ」の老作曲家は、枯淡の境地を着々と極めつつあった。それは技巧の変遷史とは無縁の、純粋に精神的な次元・純度の向上を示すものといえる。特に最晩年の作と推定される「三つの小品」はキュイの芸術の到達点として深い感慨を与えられる。真正なる芸術に「時代遅れ」は存在しない。簡素で何のてらいも思わせぶりもない音楽は、このことを証明するかのようである。
 ロシア革命の翌年、キュイは83才の生涯を閉じる。ドビュッシーが55才で世を去ったその翌日のことであった。  
  2001.9.26 中村 攝』



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