ルンデあしながクラブ推薦コンサートの磯田未央


《ルンデあしながクラブ推薦コンサート 2000》

磯田未央&マシュー・ヘイグル
ピアノ・デュオ・リサイタル



【プログラム】
   モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448
   ラヴェル:ラ・ヴァルス
   ドビュッシー(ラヴェル編):二つの夜想曲 『雲』『祭』
   ラフマニノフ:組曲 第2番 作品17

●東京公演:
   【日時】 8月21日(月)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 すみだトリフォニーホール小ホール
   【料金】 全自由席 3500円
   【お問い合わせ】 東京インターナショナルアーティスツ 03−5537-5115
●名古屋公演:
   【日時】 8月23日(水)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 スタジオ・ルンデ
   【料金】 全自由席 3000円(当日 3500円)/学生 2000円
   【マネージメント】 ルンデ 052−203−4188
●倉敷公演:
   【日時】 8月25日(金)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 倉敷市芸文館
   【料金】 全自由席 3000円
   【後援】 倉敷市教育委員会
   【お問い合わせ】 柳井  086−462−3415
            小寺  086−425−3450

◎このコンサート・シリーズ全体のお問い合わせは:
    ルンデあしながクラブ 052−223−0655

共演者 マシュー・ヘイグル Matthew Hagle プロフィール
マット シカゴ出身、ピーボディー音楽院で学士号、エール大学で修士、博士号を修得。在学中にピアノ、伴奏、楽典など多方面で数々の賞を得る。
 1994年フルブライト奨学金を得て、ロンドンのマリア・クルチオの下で研鐙を積む。その他、ロバート・ワイリック、ドナルド・クーリエ、クロード・フランク等に師事。
 欧米各地でソロ及び室内楽のコンサートを行う。チャールストン・シンフォニーと共演、ワシントンD.C.ケネディーセンターの“若い音楽家”シリーズ、シカゴの「マラ・ヘス・コンサート」等に出演。数々の批評家からの賞賛を得る。
 彼は現代音楽の研究に力を注ぎ、コープランド、カーター、アイヴス等を中心にリサイタル・シリーズを行う。また作曲家でもあり、“フルート・ソロのための「ミニチュア」”が1999年ドイツ・ケルンで初演された。現在、シカゴ音楽学校、エルムハースト大学講師。

【プログラムノート  マシュー・ヘイグル/磯田未央訳】

モーツァルト:二台のためのソナタ ニ長調 K448
 この曲は1781年に作曲され、モーツァルト自身と彼の優秀な弟子によって演奏された。二台のピアノのための作品の多くはオーケストラのような豊かな音を醸し出し、様々な楽器による対話のような交唱効果を創り上げることが出来る。ニ長調というのは、弦楽器が調弦がこの調性に共鳴しやすいということと、トランペットや打楽器などの利用が効果的になるという理由からオーケストラには一番適した調性のひとつである。“フィガロの結婚”や“プラハ交響曲”などモーツアルトの優れた作品の多くも二長調である。
 第一楽章 は、オーケストラのファンファーレのように始まる。それから様々なテクスチュアを華やかに創り上げていく(「フィガロの結婚」の序曲を彷佛とさせるパッセージが所々に出てくる)。短い展開部では新しいメロディーを用いるがすぐ初めの主題に戻る。このメロディーは再現部の終わりにまた登場しコーダに入る。
 第二楽章は二つの楽器の美しい対話を表現している。
 第三楽章は第一楽章のように活気ある楽章であり、劇的な休止符やトランペットのイミテーションなどを効果的に用いてある。

ラヴェル:ラ・ヴァルス
 この曲は最初1920年にオーケストラのために作曲され、翌年にラヴェル自身により2台のピアノのために編曲された作品である。このラヴェルの「舞踏の詩」は“1855年頃の宮廷を音楽的に描写したもので、いくつかのワルツの主題がトリル、グリッサンド、アルペジォや半音階などの色彩豊かな装飾いっぱいに盛り込まれている。曲が進むにつれて熱狂的に激しい終結に向かつて盛り上がっていく。

ドビュッシー(ラヴェル編):二つの夜想曲「雲」「祭り」
 ラヴェルは他の作曲家による作品の編曲にも積極的で、ドビュッシーのオーケストラ曲「夜想曲」を1909年に二台のピアノのために編曲したのも彼である。この曲はドビュッシーが1892年かち構想を練り始め1899年に完成した。
 「雲」はリストの晩年の曲‘Nuages gris’に影響を受けたものではないかと思われる。ドビュッシー自身による「雲」の描写は「白がやさしくまじった灰色の苦悩」で、これもリストの曲の雰囲気とも一致するものがある。
 「祭」は対象的にとても外向的な曲で、リズミカルな三連音符はお祭りの雰囲気を醸し出す。中間部の静まった部分からまた少しずつ興奮に盛り上げていくが、これはお祭りの行進を示唆している。初めの主題が戻ってくるが、これはコーダヘと消散していく。

ラフマニノフ:組曲 第二番 作品17
 この曲の意気揚々とした出だしはラフマニノフの創作意欲と大きな自信を反映する。この組曲はチェロ・ソナタ、ピアノ協奏曲第二番と同じく1901年に完成された。
 テフマニノフは1895年に交響曲第1番を作曲し1897年に初演されたが、これがまったくの悪評であった。この失敗から受けた精神的不安が重くのしかかり神経衰弱にかかってしまい、しぱらく作曲活動が出来なくなってしまった。精神病科の名医ニコライ・ダール博士の治療で少しずつ自信を取り戻し1901年にこれらの三つの名曲を書き上げた。これらの作品は長いメロディーライン、感覚に訴える半音階的和声、独創的な鍵盤技術を用いて聴衆に好まれている。
 第一曲目(Introduction)は活気あふれるスタッカートリズムに長いレガートラインを兼ね備えた行進曲である。
 第二曲目(Waltz)の主題は、くるくると廻る音形がショパンの子犬のワルツを思い起こさせる。この曲の終わりには素晴らしい手法が使われている。ラフマニノフは連打者のパターンを取り入れ(とても難しい鍵盤技術)それを二台のピアノに分ける。耳には三度の連打音に聞こえるが、実際の演奏はかなり簡単になる。
 第三曲目(Romance)はラフマニノフらしい甘いメロディーで始まり、クライマックスヘと盛り上がっていき最後は静かに終わる。
 第四曲目(Tarantella)の主題はイタリアの民謡から取り入れられた。タランテラというのは急速な8分の6拍子のナポリの舞曲でこの名はイタリア南部の地名タラントから、あるいは毒ぐものタラントゥーラに噛まれた時この踊りを踊ると治るという伝説から生じたといわれる。このようにこの曲は最後の終結までリズムが止まることがない。

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