ルンデあしながクラブ推薦コンサートの磯田未央


《ルンデあしながクラブ推薦コンサート 1999》

磯田未央〜ピアノ・リサイタル



未央『ロンドンからニューヨークに移ってそろそろ1年になります。活気溢れるニューヨークに住み始めて私も、より行動力がつきました。今回のプログラムは、前半“ウィーン”で、後半は今年没後150年になる“ショパン”でまとめてみました。環境が変わって、私の音楽にも新しい風が吹き込んできたでしょうか。  磯田未央 』

磯田未央、日本で3度目のリサイタル  磯田未央が永らく留学中のイギリスから一時帰国し、日本で初めてのリサイタル(千葉・名古屋・倉敷)を行なったのは1996年4月。その時の素晴らしい演奏が縁で、98年2月には《ルンデあしながクラブ》推薦コンサートとして東京デビューし、その実力を高く評価され『NHK−FMリサイタル』でも紹介されました(ちなみに、その時はショパンを取り上げています)。また「レッスンの友」誌は彼女へのインタビューを特集しました。イギリスからアメリカに生活の背景が変わったことが彼女に何をもたらしたか?  それはコンサートの当日、明らかになることでしょう。

【プログラム】
   ベートーヴェン:ソナタ ホ短調 Op.90
   ベルク:ソナタ Op.1
   シューベルト:三つのピアノ曲 D.946
   ショパン:24の前奏曲  Op.28

●倉敷公演:
   【日時】 7月10日(土)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 倉敷市芸文館
   【料金】 全自由席 2,500円
   【後援】 倉敷市教育委員会
   【お問い合わせ】 柳井  086−462−3415
            小寺  086−425−3450
●名古屋公演:
   【日時】 7月13日(火)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 スタジオ・ルンデ
   【料金】 全自由席 3,000円(当日 3,500円)/学生 2,000円
   【マネージメント】 ルンデ 052−203−4188
●東京公演:
   【日時】 8月 1日(日)19:00 (開場 18:30)
   【会場】 津田ホール
   【料金】 全自由席 3,000円
   【マネージメント】 東京インターナショナルアーティスツ 03−3438−2211

◎このコンサート・シリーズ全体のお問い合わせ、チケット予約は:
    ルンデあしながクラブ 052−223−0655


Program notes    磯田未央

●ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 作品90 ホ短調
 このソナタは1814年の夏に作曲され、二つの対照的な楽章から成る。
 絶望的で情熱的な短調の1楽章の後に続くのは簡潔でほとんど控えめと言ってよいロンド形式の2楽章で均衡の取れた穏やかな美しい主題は何度も繰り返される。このような構成の楽章は後にシューベルトに見られるがこの2楽章は明らかにシューベルトを予示する作品である。

●ベルグ:ソナタ 作品1
 ベルグはウィーンに生まれ15歳ごろから独学で作曲をはじめた。その作品はほとんど歌曲ばかりと言ってよいほどで、最初の10年間に、ベルグは80曲余の歌曲を作曲している。後にベルグはシェーンベルグに作曲を習うことになるが、これは二十世紀音楽のその後に大きな影響をもたらす出会いと言ってよい。同じ頃シェーンベルクに入門したウェーベルンとともに、数年間は生徒として作曲技法の各分野にわたって教えを受けるが、以後はシェーンベルクの協力者、あるいは友人として、無調音楽を経て12音技法を完成するに至るまでの大きな役割を果たす事になる。
 “ソナタ作品1”は1908年にシェーンベルクとの実習期間最後の課題として作曲された唯一のピアノソロの作品である。この作品はヴァーグナーの“トリスタン”の影響を受けているように見られ和声の緊張感、それに続く熱狂的炸裂は叙情的、劇的な表現性がもたらされている。このソナタは単楽章形式でまだ調性的ではあるが音程関係によって全曲を統一するなどその後の展開を予測させるものである。

●シューベルト:三つのピアノ曲集 D.946
 この作品は1828年の5月に作曲され最後の3つのピアノソナタの作品にかかる前の最後のピアノ曲である。3曲どれにも題名は付いていないが内的関係は明らかでありブラームスが1868年に第一版を出版したときに中性的題名“三つのピアノ曲集”とつけた。
 一曲目の“変ホ短調”は激情的なA部分と、対照的に叙情的なB部分からなるA−B−Aの3部形式である。シューベルトは始め5部形式として作曲したが後にC部分となる挿入曲の部分を削除している。
 二曲目の主題は舟歌のようなスタイルで二つの短調の洗練された挿入曲からなる5部形式である。
 最後はハ長調の歓喜に満ちた“Allegro”で終わる。この曲の中間部はテンポの指定がはっきり示されてはいないがシューベルトはやはりこの部分を取り巻く華麗さとは対照的にコラールのような穏やかな雰囲気を思っていたのではないかと思われる。

●ショパン:24の前奏曲 作品28
 前奏曲(1836−1839)はショパンがバッハの音楽に、より一層深く傾倒していた時期に作曲された。“平均律クラヴィーア曲集”の前奏曲と同じく、これらの曲の、簡潔で鋭く規定された気分描写は長短すべての調にわたって行なわれている。
 ショパンの24曲からなる“前奏曲”は、彼の心を最も簡潔なスタイルで描き出した傑作である。或ものは最小限の表示に最大限の効力を集中させ(Nos.2、4、5、6、7、9、10、11、20)、また或ものはエチュード、またはエチュードのスケットのように(Nos.3、8、12、16、19、23、24)、そしてノクターン(夜想曲)のように(Nos.13、15、17、21)、パガニーニのカプリスを思い起こさせるようなもの(Nos.10、22)、即興演奏のようなもの(No.18)、まるで小さな宝石を集めたような作品集である。
  第 1番 ハ長調 (アジタート)
  第 2番 イ短調 (レント)
  第 3番 ト長調 (ヴィヴァーチェ)
  第 4番 ホ短調 (ラルゴ)
  第 5番 ニ長調 (モルト アレグロ)
  第 6番 ロ短調 (アッサイ レント)
  第 7番 イ長調 (アンダンティーノ)
  第 8番 嬰ヘ短調(モルト アジタート)
  第 9番 ホ長調 (ラルゴ)
  第10番 嬰ハ短調(モルト アレグロ)
  第11番 ロ長調 (ヴィヴァーチェ)
  第12番 嬰ト短調(プレスト)
  第13番 嬰ヘ長調(レント)
  第14番 変ホ短調(アレグロ)
  第15番 変ニ長調「雨だれ」(ソステヌート)
  第16番 変ロ短調(プレスト コン フォコ)
  第17番 変イ長調(アレグレット)
  第18番 ヘ短調 (モルト アレグロ)
  第19番 変ホ長調(ヴィヴァーチェ)
  第20番 ハ短調 (ラルゴ)
  第21番 変ロ長調(カンタービレ)
  第22番 ト短調 (モルト アジタート)
  第23番 ヘ長調 (モデラート)
  第24番 ニ短調 (アレグロ アパッショナート)

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